マヌカハニーとさまざまな数値

いつのまにか『マヌカハニー=数値』と思われてしまうほどになってしまったマヌカハニーとさまざまな数値たち。UMF、MG(O)という代表格にはじまり、MGS、NPA、TAなどなど……この数字たちみなさんはどういうものであるのかご存知でしょうか。

UMFとMGOの数値

上記はUMF数値とMG(O)数値の換算表(目安)です。この数字は殺菌力を元にマヌカのいわゆる活性力を数値で表したものとして捉えられることが多い現況で、そのまま “殺菌値” として認識されている面もあります。

いつの間にかこの数値が一人歩きして、昨今では “数値が高い=高品質” や “数値が高い=高値” という風潮まであります。そんな中、ApBee アピビーが製品への表示をしなくなった経緯をマヌカハニー認定の新制度と合わせて紹介します。

代表的な “数値”

まず,数値にはどのようなものがあるのでしょうか。代表的なものをみていきましょう。

  • UMF(UMFHA: Unique Manuka Factor Honey Association: UMF蜂蜜協会)

マヌカハニーがもつ殺菌力を消毒液として比較して数値表示したものです。Leptosperin(レプトスペリン)、Methylglyoxal(メチルグリオキサール)、Dihydroxyacetone(DHA: ジヒドロキシアシトン)、Hydroxymethylfurfural(HMF: ヒドロキシメチルフルフラール)を基準に数値化をおこなう。

  • MG(O)

マヌカハニーの活性力を Methylglyoxal(メチルグリオキサール)の含有量を基準に数値化したものです。2008年にトーマスヘンレ教授(Prof. Thomas Henle)が発表。

  • MGS

Molan Gold Standard(モランゴールドスタンダード)と呼ばれマヌカハニー研究の権威であるピーターモラン教授(Prof Peter Molan)により考案。他の基準同様に Methylglyoxal(メチルグリオキサール)に着目したものです。

それではなぜ ApBee アピビーのはちみつはこのいずれのロゴや数値をつけずに販売され、多くのお客様に長く信頼され評価いただいているのかその理由の一部をご説明します。

アピビーが殺菌値を採用してこなっかたワケとは

殺菌値が高いことが純度の高い良質なマヌカハニー?

殺菌値が市場での値付けに直結する風潮になってしまうと、純度(マヌカ蜂蜜の含有量やはちみつそのものの質)が低くても殺菌値のみで “高級マヌカハニー” として販売できてしまいます。マヌカハニーの含有量が51%以上で殺菌値が高ければそれだけ高価なマヌカハニーとして販売が可能であったので殺菌値のみをあげることに注力する養蜂家も存在するであろうことは想像に難くないと思います。

実際,高温下(45度) での保存加工、または冷暗所での長期熟成で殺菌値の上昇は確認されています。 つまり、はちみつを加工することにより殺菌値の高いマヌカハニーの製造は可能であると言えるでしょう。

大自然がもたらす “神秘の食品”

はちみつは蜜蜂と豊かな自然が作り出す、言ってみれば野菜や果物などと変わらない自然食品です。収穫年によって環境、天候に左右され品質や出来が変化する中で、自然な形で高純度高品質のマヌカハニー・はちみつを生産し続けることは経験もさることながら運も必要です。

その私たちではコントロールしきれない自然相手の産物に対して殺菌値というモノサシだけで品質を測り、そしてなによりも高純度でとれた生はちみつにいずれかの殺菌ロゴをつけ毎年数値基準で値付けをすることに対して、先述の “時間と共に数値が変動する可能性” という観点からも長年疑問を持っていました。

そのため、殺菌値の協会にも所属することなくできるだけわかりやすい形で純度・品質の高い生はちみつをみなさんに召し上がっていただきたいという思いのもと生産に携わってまいりました。今までも高純度で平年より高い殺菌値のマヌカハニーが用意できた年も価格を据え置いてお客様に提供してきた次第です。

信頼できるマヌカハニーの選び方

ニュージーランド政府主導のマヌカハニー新認定制度

そんな私たちの姿勢にようやく追い風が吹き、2018年からニュージーランド政府はマヌカハニーの認定基準としてDNA検査を用いた検査方法を導入し、これらは殺菌力の基準となる成分数値とは一切関係のないものでした。

『マヌカがどのくらい含まれているか、マヌカハニーと呼べるのかそうでないのか』という点に重きをおいたこの新検査・認定基準で今後マヌカハニーは以下の2種類のみに限定されます。

  • モノフローラルマヌカ(Monofloral Manuka: 単一マヌカ)
  • マルチフローラルマヌカ(Multifloral Manuka: 他の蜜源が混ざったマヌカ)
  • (上記2種のいづれにも該当しない場合は “マヌカハニーとは呼べない” というカテゴリ)

2018年より政府主導の新制度

殺菌力や活性力などのあらゆる種類の『数値』が市場にあふれ、数値だけをもとめた粗悪品も出回るようになってしまったマヌカハニー。そのなかにはマヌカハニーとは実は呼べない製品もあるようです。

徐々に消費者のみなさまもマヌカハニーの品質に疑問を抱きはじめ、インターネット上の検索では『マヌカハニー、本物』『マヌカハニー、信頼』などの検索ワード、これらに関する記事も多く書かれるようなりました。

期待できること

粗悪品の排除とマヌカハニーの信頼性回復

粗悪品の排除とニュージーランド産マヌカハニーそのものの信頼性を取り戻すことがこの認定制度に期待されることの1つです。

また、みなさまがよりわかりやすくマヌカハニーをお選びいただける基準をニュージーランド政府(第一次産業省: Ministry for Primary Industries)が示したことになります。今まさにお買い上げしようとしている商品が単純に『マヌカハニーなのか否か』を見分ける指標になります。

今後『マヌカハニー』として販売される商品はこの検査方法で認定を受けることが義務付けられたため、2018年以降に輸出をされこの検査で認定されていない蜂蜜はマヌカハニーとしての販売が禁じられることになります。

モノフローラルとマルチフローラルマヌカの検査方法

モノフローラルとマルチフローラルの分類

この2種類のどちらにも分類されず、基準にとどかなかったはちみつは『マヌカハニーではない (non-Manuka)』というカテゴリになり、マヌカハニーとして販売ができません。

この検査が導入され、殺菌値が高いこととマヌカハニーとしての純度が高いことは関係がないことが明確となっていくことでしょう。 殺菌値のみでの値付けやその表示に疑問をもち、数値にこだわりすぎることなくマヌカハニーの花粉量を基準とした純度を大切にして生産販売を続けてきたことが認められたような気持ちです。

みなさまが少しでも迷いなく”マヌカハニー”をお手にとっていただける機会が増えると考えており、まずはこの最新の検査方法で政府認定をうけているか否かを確認してみてもよいかもしれません。